専門試験
勉強方法
国家総合職一次試験
一次試験は全国20前後の主要都市で実施されています。試験内容は、基礎能力試験と専門試験の二種類の多岐選択式試験です。
それぞれ目標得点は70%です。70%取れば上位合格することが出来ます。ボーダーは63~64%くらいです。
ではそれぞれの試験について詳しく説明しましょう。
基礎能力試験 試験時間140分 目標得点20/30
基礎能力試験は知能分野と知識分野に分かれます。知能分野24題(文章理解8題、判断・数的推理16題)
文章理解は国語の読解問題が3題、英語の読解問題が5題出題されます。これらはいずれも、センター試験よりも簡単なレベルの問題です。
判断・数的推理は、SPI試験の判断、推理系の問題と同じです。しかし、分量が多くいくつか非常に深い思考力を必要とし解答までに5分以上かかるものも存在します。
例えば以下のような問題が実際に出ました。
A~Eの5人が、テニスでダブルスの試合をした。以下の条件を満たすとき、対戦が行われた試合はどれか。1~5の中から選べ。 ・各人試合ごとに異なる者とペアを組みそれぞれ4試合行った。 ・試合数は全試合で5試合であった。 ・ABペアは、CEペアと対戦した。 ・BCペアは、DEペアとは対戦しなかった。 1.ACペア 対 BEペア 2.ACペア 対 DEペア 3.ADペア 対 BEペア 4.AEペア 対 BCペア 5.AEペア 対 CDペア 解答はこちら→(2) ※反転しています。 |
このような問題を16題解くことになります。
当然時間との勝負になると思いますので、苦手な人は準備を十分行う必要があります。
準備には、より多くの問題に触れる必要があると思いますので、
スーパー過去問ゼミシリーズの数的推理、判断の問題集
をお薦めします。
スーパー過去問ゼミシリーズは、問題数が非常に多いので、問題演習にはもってこいの本になります。
知識分野6題(自然、人文、社会)
院卒区分の試験では、知識分野が6題しかありませんので、その他の専門科目を勉強したほうが効率が良いと考え私は勉強しませんでした。(結果知識分野は0点でしたが、、、笑)専門試験 試験時間210分 目標得点25/40
専門試験には必須問題10題と選択問題30題の二部分に分かれます。必須問題10題(基礎数学、基礎物理学、基礎化学、基礎生物学)
必須問題の科目はこの4題で、内容としては大学受験の二次試験と、大学の定期考査の間くらいの難しさの問題でしょうか。2012年の試験での出題について紹介します。
基礎数学1題
無理曲線の面積計算(大学受験二次試験の標準的な典型問題)
基礎物理2題
基礎電磁気学からの質量分析に関する問題、ピストン内の理想気体の定圧下での温度上昇に関する問題
基礎化学3題
難溶塩二種類の混合水溶液における平衡に関する問題、グリニャール試薬に関する基礎問題、塩の溶解による沸点上昇、凝固点降下に関する基礎問題
基礎生物4題
中性脂肪、細胞増殖と細胞死、N標識のDNAの取り込みと世代交代、ハーディ・ワインベルグの法則が適用される交配実験
このような問題が出題されました。これらから私が感じたことは、自分の専門分野で問題を落とすわけにはいかないということです。
この区分を受ける人は化学と生物が専門の方が多いでしょうから、化学と生物で問題を落とすわけにはいきません。
一方、数学は簡単な問題でしたが、物理はちんぷんかんぷんでした。物理は国家総合職試験の中でも、この2題だけの出題でしたので勉強する必要はないかもしれません。
選択問題30題
選択問題の解答方法は少し複雑なので、説明します。選択問題の総問題数は、16科目各6題の96題です。この中から、任意の5~6科目を選択し、その30~36題の中から任意の30題を選択することになります。
すなわち、確実に取れる問題を答えて点数を重ねていくということが出来ます。
私は、大学院で分子生物学、分子遺伝学を専門にしていたことと、有機化学が得意だったこともあり、有機化学、生化学・分子生物学、遺伝学・進化学の3科目を18題すべて解答しました。
残りの12題は、基礎物理化学・基礎無機化学、工業化学・化学工学、応用微生物学・生物工学から選んで解答しました。
専門試験は基礎能力試験と異なり、試験時間が十分に設けられていますので焦らずに確実に解答できる問題を選択することが出来ると思います。
それでは、私の勉強方法を紹介します。
勉強方法
私は化学と生物について主に勉強しました。生物は専門分野でしたし、化学は大学の講義の中でも特に成績が良かったので選びました。皆さんも、自分が受験する科目を選び、それらの勉強を重点的に行うことをお薦めします。
それでは具体的にどのような本を使って勉強したか紹介します。
化学
化学分野は、スーパー過去問ゼミ化学をお薦めします。この本は各単元に重要事項のまとめがあり、参考書としても問題集としても使用することが出来ます。
私はこの本の中で、第二章無機化学、第三章有機化学、第五章分析化学の中の有機化合物の同定、第六章生物化学の部分を大学の教科書を用いて勉強しなおしました。
生物の分野と合わせて、これで選択問題30題に十分足ると考えたからです。
このように、がむしゃらに勉強するのではなく、どうしたら効率よく勉強できるかを考えながら勉強してください。 公務員試験はただでさえ範囲が広いので頭を使わないと勉強が間に合いません。
もう一度言います。自分が選択問題の中でどこから30題を解答するかをよく考えてください。
私は二次試験の専門科目でも有機化学を選択するつもりでしたので、有機化学は本気で勉強しました。
有機化学でおすすめの本は、マクマリー有機化学
マクマリー有機化学概説
です。(高価な本なので私は街の図書館で借りました。)
多くの大学化学の講義で、教科書に用いられるような名著です。解説は非常に詳しいので、ボリュームは多いですが、これを勉強すれば記述試験でも十分高得点がねらえます。
その他、養賢堂出版の有機化学I
有機化学 (1) (農芸化学全書)
もわかりやすくまとまっておりお薦めです。
生物
私は、分子生物学や分子遺伝学が専門でしたので、関連する分子生物学、遺伝学、生物工学、応用微生物学について勉強しました。生物は専門分野ということもあり、化学よりは容易に勉強することが出来ました。
勉強に使う本ですが、みなさんが大学で用いている教科書でも十分だと思います。教科書がなかったり、不安な人はここで私が用いた教科書について紹介しますので参考にしてください。
遺伝学
クロー遺伝学概説(JF.クロー):名著です。遺伝学を勉強する人は、一読の価値があります。分子生物学
分子生物学の基礎(東京化学同人):これまた名著です。現在は第四版まで出ています。生物工学
遺伝子工学の基礎(野島博):街の図書館にも置いてあるくらい有名で、面白い本です。応用微生物学
微生物学(青木健次):あまりこの分野に詳しくないので名著かどうかはわかりません。この科目は深みにはまってはいけない分野なので、この本をさらっと読む程度にとどめておくことが賢明かもしれません。全てある程度の値段がする本なので、図書館や研究室の本棚を探してみるのもいいかもしれません。
それでは、二次試験、面接、官庁訪問の説明に移りましょう。